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あれから、ミリアの力を借りつつ幾つかの箱を探ってみたが、どれも食べ物だった。
しかも、何故か埃をかぶっていないとても古そうな箱には洋酒につけたドライフルーツを使った80年くらい前のケーキが入っていた。
あまりの恐ろしさに、即座に蓋をしてしまった僕だが、
「イズミ、多分そのケーキは食べられるぞ」
「!?」
何でもたまにそういった洋酒漬けのケーキがこの世界では倉庫から何処からともなく出てくるらしい。
特殊アイテム? であるらしい。
でもあまり食べたくないと僕が思っているとクロウが、
「凄く熟成されて美味しいものなのにな。市場にはほとんど出回らずにいる高級品……それをよくイズミは引き当てたなと」
「え? 僕のせいなの?」
「ああ。“勇者”候補だからたまにいい物に出会えるのかもしれない」
「そうなんだ……これ持っていって、後で皆で食べようか」
そういいながら僕はその箱を拾い上げる。
それほど重くもないく、大きくもない箱なのは良かった。
それからまた古い箱を幾つか見つけたり、色々な物が散乱している所を、幽霊のミリアに浮かばせてもらって様子を見たけれど、
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