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「うう、夕方まで徒歩か。きついな、自動車とかないのかな」
「自動車って、液体で走るあれか」
「あれ、クロウ知っているの? そういえばゲームとかも知っていたし、僕の世界に詳しいんだね」 「それは、まあ……それでその自動車か、イズミは運転できるのか?」
「うん、この前、免許を取ってきたばかりだよ!」
自信満々に告げるとクロウがどこか安堵したような表情で、
「よかった、ゲームで運転した事があるから運転できるよと言い出さなくて」
「それはギャグネタだと思われます。昔の」
「そうか……それで、作るのか?」
「え?」
「魔道具が作れるのだろう? それで自動車を……とは考えなかったのか?」
クロウに言われて僕ははっとした。
確かにこの世界の物以外にも僕の世界の物を、作れるように神様にしてもらったのだ。
つまり僕は今、この時、
「この前とった車の免許の力を開放する時!」
「……それは自信を持って言うことなのか」
「だってこの前、とれたばかりなんだ! 取るの結構大変だったし。でもこんな事が出来るなら、ついていたかも! えっと、自動車っと……“炎の魔法石”“風の魔法石”“大地の魔法石”“ミノタロ石”らしいです。有りますか?」
「俺は持っていないな、魔法石以外は」
クロウが僕に言う。
なので僕はすぐにリゼルに、
「リゼル、自動車を作りたいから、材料頂戴!」
それにリゼルは珍しく困ったような顔になり、
「……その“じどうしゃ”がどういうものか僕は分からないが、この武器も作ってもらったし、渡したいのは山々なんだけど……この前売ってしまった」
「え?」
「シオンは持っていたか?」
「私も全部売ってしまいましたね」
「ごめん、僕達は力になれないかも」
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