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そう言って僕に茶色い干からびた枝のようなものをリゼルはバックから取り出して、僕に投げた。
それを受け取って僕は、
「リゼル、ありがとう」
「別に……そういえば、何でクロウの服を着ているんだ? イズミは」
「それは、子供達に飲み物をかけられて、代わりに女の子物のワンピースを着る羽目になったのだけれどここのご主人の服が大きすぎて、クロウの服になったんだ!」
「……ようはその子供達が原因か」
そこでリゼルはちょっと考えこんでから次に僕を見て、
「そのドレスを破ったのは子供達だろう? それで服を汚したのも。なのに何でイズミは手助けしようとしているんだ?」
「え? だって困っているようだったし、それにこれがクエストになっちゃって」
「それを早く言え! そうすればすぐに僕は材料を渡したというのに……さあ、早くその解決する何かを作るんだ!」
「う、うん」
僕はリゼルに急かされて、材料を置いて、とりあえずはスマホの“go”ボタンを押す。
光り輝く魔法陣の中に僕が見知ったものが現れる。けれど、
「電源ケーブルがない? そもそもコンセントってこの世界にあるのかな?」
先ほどの移動だって馬車だと言っていた。
自動車なんて存在しないのだ。
自分の身近にあるものがない状態でどうしようかと僕が思っていると、そこでその“ミシン”をクロウが持ち上げて、
「これを持っていけばいいのか」
「う、うん、でも電気とかがないと……」
「大丈夫だ、魔力で動くから」
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