八月二十一日

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八月二十一日

 今日も妖精さんはそれなりに元気だった。  たわむれていたらケータイが鳴った。機械嫌いの妖精さんから離れた場所で通話ボタンをポチリ。ちなみにいわゆるガラケーだ。  友達からだった。誘われたので、遊びに行くことにした。  いつものメニューを妖精さんに与えて、キッキッという喜びの音を聞きながら部屋を出た。  友だちと話をしていると興味深い話題になった。なんでも最近、小さなおじさんというヘンテコリンな生物を目撃したといった情報が飛び交っているそうだ。しかもそれは妖精が現代の環境にあわせて進化したものらしい。  つまりは、羽を捨てた妖精のようなものだと。なるほどと思った。そういえば、そんなアニメ映画もあったかもしれない。わたしは妖精さんの片羽を思い出していた。  どうせ飛べないんだから、ない方がいいのに。わたしはそう思った。
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