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「あっ…」
ぼんやりしていたせいで、空の瓶と間違って持ち上げた瓶が倒れてしまった。
テーブルには泡交じりの液体が広がって、ビールの匂いが鼻を刺激した。
私は近くの社員に謝りテーブルの上を布巾で拭いた。
そこに吉野くんが駆け付けた。
「大丈夫?」
「…うん、大丈夫」
「服、濡れてるよ」
吉野くんの視線の先、洋服の裾の部分がビールで濡れていた。
「ホントだ…」
「俺、ここやっとくし、少しすすいで来たら?匂い着くよ?」
私と二人なら…
穏やかな吉野くん。
「ありがとう、行ってくるね」
私は彼に任せて食堂を出た。
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