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『そんな人いませんよー』
そう答えられたらどんなに楽だろう。
いいじゃない、既にここはお酒の席。
面白ろ可笑しく答えれば盛り上がる場面だ。
『いたら紹介してください!』
もしも、私が要領が良くて、この場にふさわしい答えが言えたのならどんなにいいだろう。
要領のいい女はこんなことでいちいち悩まない。
だけど私はそういう種類の女じゃない。
それに…
私の視界の隅に映り込む彼の顔を見ると
そんな答えなど
許されない気がした。
吉野くんが遠くから、
私の答えを促していた。
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