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「…デートに使うなんて、雪菜ちゃん、あんな冗談言うんだ?」
琴美がクスクス笑って言った。
「うふふ、一緒に行ってあげてもいいよ~」
…私は
琴美にさえも吉野くんのことを言っていなかった。
「…わかんないよ?琴美に言ってないだけで、実はこっそりいたりして」
吉野くんのことは、今日を境に、琴美にも話さなければならない。
私はその布石のつもりで言ってみた。
すると、琴美はあっさりと返事をした。
「それはないよ。私、雪菜ちゃんにそういう人が出来たら絶対に気付くもん」
そして、琴美は自分のことのように言った。
「それにさ、もし、友達に内緒で好きな人と付き合えるようなことになっちゃったら…何か事情があったとしても、絶対に言いたくなるよ。『絶対内緒にしてね』なんて、前置きしてさ」
琴美は笑った。
「…ホント、そうかもね。うれしくて、嬉しくて…親友だけには言っちゃうかもね」
室井さんもまるでそんな経験があるかのように微笑みながら言った。
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