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「そうやって…すぐに年上ぶる」
「だって、年上だもん」
「さ、この話はここまで。早く戻らなきゃ、みんなお酒が進んでくると結構好き勝手に始めるから」
私が口元を緩めて言うと、彼は下を向いて言った。
「…ごめん、こんな時に」
「…ううん」
私は小さく首を振った。
「私が先に行くね」
私はそう言って彼の腕をほどいて歩き出した。
するとすぐに後ろから腕が伸びてくる。
振り返ると吉野くんが私を真剣な表情で見下ろしていた。
「…一緒に戻っても…いいだろ?」
彼の中のタイムリミットは確実に近付いている。
「…そうだね。いいよ」
私は彼と並んで歩き始めた。
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