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はしゃぐ金木田は目をうっすら細め、俺の肩にその薄汚れた手を回して耳打ちをした。
「…だったら、いいんじゃないですか?『選抜』の結果なんて。川崎亜矢…あの娘、いい身体してるじゃないですか?いっそホテルにでも連れこんで…いっ、いでででで!」
その瞬間、俺は肩に乗せた金木田の手首を捻り、ぎりぎりと握力を込めた。
「そんなことするわけないでしょう?いいですか?金木田先生…」
俺はそのまま反転して苦悶の表情を見せる金木田に鋭く睨んで口を開いた。
「今度…そんなクソみてぇなこと言ってみろ…全力でお前を潰すからな」
限界まで握り締めた手をパッと離してやって、俺は踵を返すと「せいぜい良い先生ぶってろ!この偽善者が!」と背後から金木田の叫ぶ声が聞こえたけど、俺はそれを無視してその場から去った。
偽善者か…それでもかまわないさ…
俺は亜矢を合格させるんだ…
大切な生徒を絶対に守ってやるんだ…
私はこの歪んだ世界とこの『悪魔の試験』に対し決意を新たにし、亜美の待つ指導室へと戻っていった。
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