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中学2年の秋。
「タカー!」
振り返ると紗凪が手を振っていた。それに合わせてセーラー服とミディアムボブの髪が揺れる。
「浮かない顔してんじゃん」
「…なんでもねーよ」
俺は少し強がってみせたものの、深刻な顔をしてたんだろう。すぐ見破った紗凪が悪戯に詮索する。
「どーせ、模試の結果悪くてヘコんでたんでしょ?」
「なっ!?」
幼馴染の図星すぎる指摘に思わず顔を強張らせると、得意げな様子で鼻を鳴らす紗凪。
「まーこれからだって!で、どうだったの?」
「…D」
「マジ!?ヤバイじゃんそれ!」
全く悪気もなくケタケタ笑う紗凪に俺はイラッとしてキッと睨む。
「なんで笑うんだよ!お前、俺が死んでもいーのかよ!」
「大丈夫だってー!C取ればいいんでしょ?まだ1年あるし間に合うでしょ!」
紗凪はバンッと思いっきり俺の背中を叩くと、無邪気に笑った。
けど除霊されたかのようにそれまで纏わりついていた不安がどこか遠くに飛んでいった気がした。
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