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「…ちなみに紗凪は?」
「私はA!」
紗凪はドヤ顔でそう言い放つ。不安が消え空っぽになった体内に恨めしさが芽生え始める。けど、それ以上に安心する自分がいた。
紗凪に合格ラインは俺と同じC判定。
A判定なら紗凪は全然大丈夫じゃん。
そう思いながら、紗凪に優しく微笑みかけた時、
「きゃっ!」
それまで柔らかくそよいでいた風が一瞬強さを増して俺達の間を吹き抜けた。そのいたずらな風は紗凪のスカートをふわっと捲りあげ、紗凪の白い太ももが露わになった。
微笑んだまま、目を見開く俺。
「…みーたーなー」
「べっ、別に見てねーよ!」
「嘘だっ!鼻の下伸ばしてる!」
俺が微笑んでいたのをにやけてると勘違いした紗凪。
「見てねぇし!ひらひらのピンクなんて…あ。」
「やっぱ見てたんじゃん!タカのエッチ!」
「違う!不可抗力だ!」
俺達はパンツ見た見ない論争を繰り広げ、それまで頭の中を占めていた模試の結果だとか、来年8月に迫る『全国選抜総合試験』だとかを一瞬でも忘れることが出来た。
俺は紗凪がいるから、絶対合格しなきゃいけない。
ずっとこうして、紗凪の隣で笑っていたいからさ。
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