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「いやー、お互い大変ですねぇ」
ひょろっとした風体にほっそりとした面長の顔と細い目。七三分けの短髪黒髪はテカテカしている。その風貌といい、内面といい、いわゆるボンボンの空気を彼は醸し出している。
「…なにが、ですか?」
静かに呟く俺に「何をおっしゃいますか」と高めの声で軽く笑う。
「うちの西森も酷いですが、おたくの川崎亜矢…致命的でしょう?」
前々から思う。上から目線で語るこいつのことが嫌いだ、と。
それに致命的でしょう?ふざけんな。
「いえ、まだ時間はありますから…」
俺の静かな強がりさえ、彼にとっては美味い肴らしい。
「そうですよねぇ、まだ試験まで少しありますからねぇ。それに私達の評価に響きますしねぇ」
「…評価ですか。私は別に…」
「評価は別に!?恐れ入ります!先生!」
手を叩き、目を見開いてわざとらしく感心する金木田。
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