第13章

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 岡本千朗を何とかしよう、なんて……思い上がりだったかもしれない。  景斗はとぼとぼと夕方の道を辿った。  千朗がどうしてあんなことを続けているのかはわからない。でも千朗は千朗で苦しんでいる。自分の力をなんとかしたいと思っているのは確かだ。 (だけどこのままじゃ、千朗は悪くなる一方だ)  ヤケになって力を無造作に使ってしまったら。あの視線を持つ人間を片端から潰してしまうようなことを始めたら。  そんなことをしたら本当の化け物になってしまう。  自分で自分のことを化け物と言うなんて。  景斗は人と違う力を持った自分を化け物だなどと思ったことは一度だってない。でも、あの時、回りにいた人々の視線はそう語っていた。  ―――化け物―――と。 (どうすればいいんだろう。どうすれば千朗を助けられる? 俺馬鹿だからわかんねえよ)  また萩原に相談してみようか、と思う。萩原に言ったって何の答えも解決法も貰えるわけではない。でも、今唯一あの人だけが話を聞いてくれる。  あの人は怖がってないし。  頭上でカラスの声が響いた。それがずいぶん近くだったので思わず顔を上げると、驚いたことに電線にずらりと並んでいる。
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