第13章

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(な、なんだ? こんなにたくさんのカラス、今まで……)  一羽が翼を広げて「カア―――」としわがれ声で鳴いた。ばさっと何かを振るような音がしたかと思うと、後ろから黒い塊がすり抜ける。 「わあっ!」  カラスだ。カラスが真横を通っていった。  度胆を抜かれていると、また一羽、今度は正面から向かってくる。 「わっ、な、なにっ!」  カラスは空中で翼を振って止まると景斗の頭の上に止まろうとした。その鋭い爪で頭をひっかかれ、思わず悲鳴を上げる。 「わあっ、なに、なんだ! やめろっ!」  間近で見るカラスは恐ろしいほど大きい。翼を広げられると視界が真っ黒になった。くちばしが頭をつつく。景斗は無我夢中で腕を振った。 「やめっ、やめろってばっ!」  叫ぶのと同時にカラスを弾く。カラスは飛ばされて近くの電柱に叩き付けられた。
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