第1章

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「今日もいいお天気だし、どこか出掛けましょうよ。お弁当を持って。」 「さんせーい!!」 どうやら、妻と娘の間では、既に決定事項らしい。 「どこかってどこに?」 「どこでもいいわよ。外でシート広げて3人でお弁当食べられるところなら。」 中身は昨日とほとんど一緒で悪いけど、と苦笑する妻。 あ。 もしかして。 昨日、俺が家族で一緒に弁当を食えないと不機嫌になったから? 「いっしょ!いっしょ!パパとママといっしょ!」 先に朝食を終えている娘が、弁当の前でわくわくした顔をしている。 そんな顔をされちゃあ、自宅でゆっくりしていたいなんて、言えるはずがないじゃあないか。 「・・・よし!ちょっと離れてるけど、広ーい公園に行くか!遊具もいっぱいあるし、ふれあい動物広場もあるところに!」 もちろん、弁当を広げる場所もあるところに。 喜ぶ娘と微笑む妻。 俺と二人の間に、弁当。 小さい幸せだけど、尊い幸せを抱いて、青空の下、家族で過ごそう。 終.
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