第1章

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「一緒に食いたかったなあ。」 おむすびを頬張りながら、未練たらしく言う俺に、妻は冷えた麦茶を差し出してきた。 「そうねえ。でも、きっと友達と楽しく食べてるわよ。」 お弁当を見せあいっこしてね。 そう付け足して、妻は笑う。 平凡だけど、自信作なのだ、あのお弁当は。 おかずを入れたカップは、キャラクターもののかわいいもので。 水筒も、新調していたっけ。 本当はスポーツ飲料を入れたかったけれど、学校からは水かお茶と言われているのよと、麦茶と氷を入れていた。 「子どもの中には、コンビニのお弁当やパンって子もいるそうよ。」 「は?コンビニ弁当!?」 いろいろあるのよ、家庭事情って、と妻は言うが。 それこそ、残酷じゃないのか、子ども同士で食べるときに、コンビニの弁当やパンってのは!
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