34人が本棚に入れています
本棚に追加
だが苦笑する裏側で、この「家族」という言葉から
にわかに忘れかけていた嫌な予感が、俺の中に蘇る。
そして、彼女の名を口にした俺は、思わず真剣な目を向けた。
「あの、つぐみさん」
「はい」
「沙耶佳を見ていれば分かると思うんですけど、
ウチの女達って、すごく面倒っていうか、おかしなヤツらなんですよ」
しかし、俺の説明が下手過ぎたのか、唐突すぎたのか、
彼女はキョトンと小首を傾げる。
「でも私、沙耶佳ちゃんと話すの好きですよ?」
いやいやいや。
小さく突っ込みつつ、胸に嫌な予感が重く広がる。
「でも、アイツみたいなのが三人もいるんですよ?
しかも、なんかすぐに勝手な暴走するし」
「暴走?」
益々、彼女の声が不思議そうに首を傾げる。
最初のコメントを投稿しよう!