12  何してくれるんだ、もぉ! (続き)

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案外、あっさりと引いた残暑のお蔭で、 久しぶりの故郷には、淡い秋風が吹いていた。 そして、懐かしい駅舎を彼女と一緒に出て行くと、見慣れた車が目に入る。 「あっ、つぐみちゃん!」 たぶん、昨日の内に帰省したのだろう。 車の助手席から降りてきた妹が、大きな笑顔で手を振ってくる。 そして、 「沙耶佳ちゃん」 いつの間にか互いに「ちゃん」付けになっていた彼女も、 笑顔で妹に小さく手を振り返す。 しかし、この光景を目にする俺の胸には、 秋風というより木枯らしに近いものが吹き抜けた。 なんだ、このすごい置き去り感とズッシリした嫌な予感。 そして俺は、襲われそうな身震いをなんとか引っ込め、 ひっそりと溜息をついた。
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