12  何してくれるんだ、もぉ! (続き)

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だが、妹の言う通り、 名所があるわけでもないし、特別案内するような所など何もない。 だから俺は、取りあえず卒業した小学校や中学を回り、 なんだかなぁ、と自分に突っ込みつつ母校の高校へと車を走らせた。 校庭脇に車を止め、ここを出て十年近く経つのに 何も変わっていない風景を目の前にする。 片側に畑が広がり、反対側には住宅街。 校庭では、いくつかの部が練習に励み、 校舎の向こうには、てっぺんに公園が設けられた丘が こんもりと緑を育んでいる。 そんな光景を見つめ、彼女がポツンと言った。 「潤平さんは、どんな高校生だったんですか?」 だが、俺は苦笑を返すしかなかった。
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