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「なんの変哲もないヤツでしたよ。
数人の友達がいて、頭もスポーツも真ん中程度。
あの丘だって……。あぁ、あの向こうに見える丘に、
この辺りのデートスポットになってる場所があるんですけど、
冷やかしに行くだけみたいな」
そして、真っ直ぐに丘を見つめる彼女に「行ってみますか?」訊いてみる。
すると、彼女は嬉しそうに頷いた。
だが、デートスポットといっても、
大都会の高層ビルの展望台なんかに比べると、かなりショボイもんだ。
それでも、眼下に辺りを一望できるそこは、
やはり、あの頃と何も変わらない懐かしい風景でもある。
俺は、五分ほどで着いた駐車スペースに車を止め、
少し歩こうと彼女を誘った。
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