12  何してくれるんだ、もぉ! (続き)

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半円を描くようにベンチが点在するそこには、 連休だというのに、たった一組の姿しかなかった。 そして俺は、その先客カップルを避け、 彼らから少し離れたベンチに彼女をいざなう。 そよぐ柔らかな風は冷たくもぬるくもなく心地よく、 目の前の景色は、都会とは違い、広く、遠く広がっていた。 そんな、少しだけ秋を感じさせる風に髪をわずかに靡かせ、 彼女は真っ直ぐに目を向ける。 そして、ポツンと聞かれた。 「潤平さんも、ここでデートをしたんですか?」 思いも寄らない事を聞かれて、俺は思わず彼女に目を向けた。 そして、小さく声をあげて笑ってしまった。 「いやいや。俺、全然モテもしなかったんで、 彼女なんかいませんでしたから。 だからここも、男の友達と来て、幸せそうなカップルを遠目で眺めて みんなで指咥えてたもんですよ」 「でも、楽しそう。それに、ここってすごく穏やかな所ですね」 「まぁ、つぐみさんの育った場所に比べたら、のんびりしてますね」
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