12  何してくれるんだ、もぉ! (続き)

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俺は、別に、この故郷が嫌だったわけでもないし、 大都会への強い憧れがあったわけでもなかった。 だが久々に帰ってきた今も、懐かしさはあれども特別な感慨は抱いていない。 しかし、彼女は違ったようだ。 「人や建物ばかりじゃなくて、こうして緑があって、 ゆったりと暮らしの時が流れていて。 こんなステキな所で育ったから、潤平さんはとても優しいんですね」 なんとなくしみじみとした声で言われ、 照れるよりも、俺はちょっと意外だった。 だが、そんな俺の様子に気付かないのか、 柔らかな眼差しを眼下に向けたまま彼女は続ける。 「潤平さんのご実家は、どこですか?」 俺は、右の方向に指先を向けた。 「ここからは見えませんが、あっちですね。 でもまぁ、ここと似たような場所ですよ」
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