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あれは蒸し暑い夏の夜。
やたら眠くてベッドに潜り込み、うとうとしていた。
急に窓の外が七色に光った。
と同時に耳鳴りがキーンと甲高く頭の中を掻き回す。
「まさかUFO?」
目を開けると窓の外がキラキラしている。
ああ、さらわれるのかな。
宇宙はきれいだろうな。
なにか埋め込まれるのかな。
ぐるぐる考えながら気づいた。
動かない。
頭ははっきりしているのに。
手足が動かず声も出せない。
かちゃり。
悲鳴も出せずドアが開くのをただただ見つめていた。
二人。
いや正確には二つの黒い影。
頭らしきものは大きい丸で、手足は細かった。
それらはゆっくりあたしに近づく。
触られる!と思った瞬間。
『ぴんしゃらほんにゃら~ぴんしゃらほんにゃら~』
携帯電話の着信音が鳴り響いた。
とたんにバチンッと目が覚め、見渡すと辺りは真っ暗だった。
拐われてもヨカッタノニ。
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