第2章

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 みんな、奏さんのこと、あまり好きじゃなかったじゃない。  それなのに、そんな顔をされたら、私、ますます悲しくなっちゃうよ。  「……終わりにすることはできるけど」  「終わりにするの?」  「ユーゴ! ダメだって!」  「ユーゴ、それは……」  ロイやフロリアが慌てて止めに入る。  だから、わかっちゃった。  ……終わりにするんだってことは、奏さんに死んでるんだって教えてあげること。  「それって……私にできることかな? 私がしちゃっていいのかな?」  ポツンとつぶやいたら、3人は互いに顔を見合わせる。  「……それは、私と奏さんの問題だったね。ごめん」  奏さんが終わりにしたいと思ってるかどうかと、私が終わりにしてあげたいと思ってるかどうか。  そして、私の言葉を奏さんが信じてくれるかどうか。  「……そうだね。僕たちには何もできない」  「そうだな。すげー悔しいけど、俺にはなんにもできねーもんな」  「邪魔しちゃいけないな」  「みんな、ありがと」  呟くように言ったそんな一言が聞こえたのかどうかなんてわからない。  3人は音もなく部屋を出て行った。  「ねえ、奏さん。奏さんは今、何を思ってますか?」  ひっそりとつぶやいてみても、私という存在さえ飲み込んでしまいそうな静寂が返ってきただけだった――  部屋に遊びに来ないかと奏さんに誘われたのは、もう後数日で奏さんの誕生日が来るっていう日のことだった。  「こんな所ではムードも何もないな」  「そんなことないですよ」  そう返事したっきり、言葉が続かない。  奏さんの部屋、前よりももっと物が少なくなってる気がした。  覚悟を決めてるって感じがして、胸がつまる。  何度こうやって身辺整理を繰り返してきたのかな?  ……この先もそれを続けること、望んでるのかな?  「奏さん」  「なんだ?」  「奏さんは……」  「俺は?」  「奏さんは、もう終わりにしたいと思ったりはしないんですか?」  言葉を選んでる余裕もなくて、そのままずばり聞いてしまった。  奏さんは強張った顔で私を見ている。  「……つらくないんですか? 繰り返し、繰り返し、終わることのない時間を生き続けるのって」  「……終わらせられるのなら、な」  
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