油断も隙もない

1/1
前へ
/11ページ
次へ

油断も隙もない

(由衣 中学2年生) 中学生になった頃から、大ちゃんがあまりかまってくれなくなった。 もう大学生だもん、中学生と遊んでも面白くないよね。 どんどん大ちゃんが遠くなっていく・・・寂しい。 学校の委員会で遅くなったので、同じ委員の横田くんが家まで送ってくれていた。家の近くまで来たところで大ちゃんに会う 「由衣」 「あっ大ちゃん、出掛けるの?」 「いや、由衣がまだ帰って来てないって聞いたから迎えに来た」 「そうなんだ」 久しぶりの大ちゃんに顔が緩む。 「横田くん、ありがとう」 「いっ・・・いやっ」 「横田くん、由衣を送ってくれてありがとう。後は俺が連れて帰るから」 なぜか横田くんはオロオロしながら帰って行った。? 「横田くんと仲良いの?」 「ん~、委員が一緒だから結構話すけど」 「ふ~ん」 「大ちゃん、ありがとう」 「遅くなる時は連絡してこい、迎えに行くから」 「うん!」 大ちゃん、やっぱり優しいな~ まったく油断も隙もない、由衣に手を出すなと無言の圧力をかけたから大丈夫だろう、彼のあの様子で、言いたい事は伝わったはずだ。 中学生になったとたん、悪い虫が周りを飛び出した。 誠二の奴、何やってるんだ、あれだけ気をつけろって言ってるのに 「誠二~、ちょっと来い」 なんだかあの日から横田くんがよそよそしい、なんで?不思議な由衣だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加