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油断も隙もない
(由衣 中学2年生)
中学生になった頃から、大ちゃんがあまりかまってくれなくなった。
もう大学生だもん、中学生と遊んでも面白くないよね。
どんどん大ちゃんが遠くなっていく・・・寂しい。
学校の委員会で遅くなったので、同じ委員の横田くんが家まで送ってくれていた。家の近くまで来たところで大ちゃんに会う
「由衣」
「あっ大ちゃん、出掛けるの?」
「いや、由衣がまだ帰って来てないって聞いたから迎えに来た」
「そうなんだ」
久しぶりの大ちゃんに顔が緩む。
「横田くん、ありがとう」
「いっ・・・いやっ」
「横田くん、由衣を送ってくれてありがとう。後は俺が連れて帰るから」
なぜか横田くんはオロオロしながら帰って行った。?
「横田くんと仲良いの?」
「ん~、委員が一緒だから結構話すけど」
「ふ~ん」
「大ちゃん、ありがとう」
「遅くなる時は連絡してこい、迎えに行くから」
「うん!」
大ちゃん、やっぱり優しいな~
まったく油断も隙もない、由衣に手を出すなと無言の圧力をかけたから大丈夫だろう、彼のあの様子で、言いたい事は伝わったはずだ。
中学生になったとたん、悪い虫が周りを飛び出した。
誠二の奴、何やってるんだ、あれだけ気をつけろって言ってるのに
「誠二~、ちょっと来い」
なんだかあの日から横田くんがよそよそしい、なんで?不思議な由衣だった。
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