或る女装男子の話

金科玉条

「認めん！断じて認めん！！絶対だゴラァ！

百歩譲って、家の中で女装は認めてやるが、
外に持ち出すなぁ！！門外不出じゃああっ！」

怒り心頭のご様子の、僕の友人。
禁退出の本のような扱いをされてもなぁ…
まぁ、実際居たら、僕でも、引くけど。

「女装趣味だけじゃあ飽きたらず、
北朝鮮のように次々と爆弾を発射するかっ！
まだ何かの大量破壊兵器でも隠し持って
いるんだろ。おおっ？もう驚きを通り越して
怒りしか出てこねぇよぉっ！？」

他の言葉で言えば「なんて日だっ！」
後半は、コトゥーゲみたいな口調だし…

「レイジは認めんでも、姉二人は認めたよ。
それどころか、母さんも公認しているし、
父さんには母さんを通じて伝わってるよ」

どさくさの勢いに紛れて、さらっと言う。
世間のお偉いさん方が好む手法だ。
（ブログで結婚発表する芸能人のように）

「あー、もう、今日は空襲にでもあった
ような気分だね！何が目的だ？んん？」

煮るなり焼くなり好きにしろ。と
言わんばかりの「俎上の鯉」のようだ。

レイジの名前の由来は「rage（怒り）」だ。
色んな事に対して怒っている。
ただ、あまり意味のない怒りもあるが。