金科玉条

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「ヒロトさえ良ければ、 また亜美に会わせてくれよなっ!」と レイジなりに非礼を詫びたのだった。 数日してから「亜美」名義で返信が来た。 「わたしの方こそ、何も言わずに 会ってしまい、レイジさんも驚かれたと 思われます。でも、確かな事があります。 ヒロトさんと、レイジさんは友人です。 わたしはその邪魔をしたくありません。 消える覚悟も出来ています。 嫌なら嫌だと、ハッキリ言って下さい」 ヒロトにしては、人格が変わったように 女性らしい控えた人柄が伝わってきた。 レイジからしてみれば、 (本当にヒロトが書いたのか?)と 疑問に思うほど、丁寧な内容に感じられた。 「亜美の人格を造り過ぎだろ。 ここまで出来れば大したモノだよ」 などと、一人の部屋で呟いた。 また後日、週末の定期連絡(電話)で ヒロトに疑問に思った事を聞いてみた。 「亜美名義で返信来たケド、どゆこと?」 ヒロトのケータイからではなく、亜美だった と言うのが、どーしても引っ掛かったのだ。 「あー、亜美のヤツはナンパされるから 防衛用にケータイ持ってんだよ。 スマホじゃなくて、ガラケーだけどな」 防衛しているのはヒロトだろーが!と ツッコミしたくなったが、そこまで徹底して 「亜美」と「ヒロト」を使い分けているのは ロールプレイ(役割を演じる行為)として、 見上げた根性をしているなー。と思った。
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