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「何? 幸恵さん」
「確かにこの家、以前からあちこち古くなってるとは思ってたけど、ひょっとして夢乃さんが顔を出すまでは、建て替えるのを控えてたとか?」
思い付いた事を口にしてみた幸恵だったが、それに関しては香織も微妙な顔付きで応じた。
「どうかしら? 確かに記憶にある実家の光景がガラッと変わってたら色々思う所はあると思うけど、建て替えについてお義父さん達は、特に口にして無かったわ」
「そう……」
何となく納得しかねる顔つきで曖昧に頷いてから、幸恵は久方ぶりに実家に戻って来たにも係わらず、兄妹で隔意などなさそうに和やかに話し込んでいる親達を眺めながら、(間に合ったみたいで、本当に良かったわね)と密かに安堵したのだった。
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