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もう道に迷いたくない。
そう考えた私は、海沿いの道をひたすら走る。
『……はあっ、はあっ……もう駄目だ。暫く休もう』
堤防沿いに腰を掛け、地平線の先まで広がる海を眺めた。
『美紀ちゃんの気持ちを聞けたら海へ飛び込もうかな。どうせトマトじゃ生きて行けないしね……』
そんな事を呟いていると、いきなり小学生に体を掴まれた。
「おい、トマトがこんなところに落ちてるぞ」
「やめなさいよ。落ちてるトマトを拾うなんて……」
どうやら小学生の男の子と女の子が言い争っているようだ。
「三秒ルールってしってるか? 落ちても三秒以内なら食えるんだぜ」
この男の子は何を言ってるんだ?
「三秒どころか、元々落ちてたやつじゃない。捨てなよ」
頑張れ女の子。
「このトマト、お尻青いけど美味そうだぞ」
青いって言うな。
この男の子は何でそんなに落ちていたトマトを食べたがるんだ?
「そう? あっ、本当ね。何か美味しそうに見える」
ちょっと嬉しい……いや違う。勘弁してくれ。
「うーん……やっぱり捨てよ!」
『えっ!?』
トマトは小学生の手により、海へと放り投げられた。
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