1人が本棚に入れています
本棚に追加
ここはどこ?
(こんな適当な事を言ったって誰も興味を持つはずもない・・・)
それでも何者かに憑かれたように繰り返していた。
『私』を信じて下さい。
「テンプル・シュラインさん、持ち時間終了となりました。
速やかに退場してください。」
そのアナウンスで正気に戻った。気がした。
訳が分からないままに控え室に戻る途中の廊下で突然数人に周りを囲まれた。
「???。。。」
あっという間に視界が遮られて何も見えない。
何か叫ぼうとしても声にならない。
(おい、どうしたっていうんだ?)
たちまち大勢の塊に包まれるようになったかと思うと、記憶のスイッチがストンと落ちた。l
次に気がついた時は薄暗い部屋の中にいた。
薄暗い明かりがどこかから漏れていて何かが発光している。
甘ったるい香りが部屋中に満ちているのも分かる。
(ここはどこ? どうしてここにいるんだ?)
目の前に薄っすらと浮かぶ黒い影。
沢山の人の影?
(あれ、まだ講堂の中に居たのか?)
ガーン!
大きな銅鑼の音と共に全面が少し明るくなった。
そこには、、、、。
やはり大勢の人達が目の前に座っていた。
(やっぱりそうか。退場したかと思ったけど、何かの具合で元に戻されたんだ。)
何となく安堵。でも何故?
そんな安易な考えは次に起こった事象で脆くも崩れ去った。
「ウリャンサマセラグー。」
地を揺らがすような声が前方から響いて来た。
「ご教祖様~。お救いください。」
徐々に目が暗闇に慣れてきて薄暗い中で何が起こっているのかが段々と分かって来た。
明らかに大勢の若者が僕を見ている。但し、先ほどまでの様に人を瀬踏みする様な感じが微塵もしない。何か真摯に次に始まる事を待ちわびている、そんな感じがヒシヒシと伝わってくる。
最初のコメントを投稿しよう!