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犯人からの要求は
画面は変わって今度は警察署と思わしき場所からの中継の様子。
「大変で水面。毎年、天然クロマグロの初セリで高額購入をすることで有名な寿司チェーン、『寿司四枚』の社長が昨夜から行方不明となっております。
店を夜9時に出たのが目撃された最後とのことです。」
人が慌ただしく出入りしていて事態の緊迫さが伝わって来る。
「今は入りましたニュースです。
『テンプル・シュライン』を名乗る者から警察宛にメールが届いた模様です。
警察から内容の発表があります。」
会場の前に長い机が置かれ、その背後に数人の警察官が座っている。
「これから会見を行います。」
おびただしい数のフラッシュが焚かれる。その音が静まるのを待って会見は続いた。
「先程、警察宛に『テンプル・シュライン』を名乗る者からメールが来ました。
『寿司四枚』の社長の誘拐を認める内容です。
社長は未だ生きているが、返して欲しかったら店舗で出している全ての「マグロ」を取下げろ、との要求が書かれています。
イタズラの可能性もあるかと考えましたが、そのメールには社長本人と家族しか知りえない情報が書かれていた為に本物と断定しました。」
「それで犯人の要求には応えるのですか?」記者の質問が飛んだ。
「まあ、言っては何ですが、この様な他愛もない要求なので応えることとし、既に店舗からマグロは全て撤去されています。」
「ということは犯人の要求に屈することですね?」
「そうとも言えますが、何せ他愛の無い要求なので。」
そこに一人の警官が駈け込ん入って来て、今記者会見でしゃべっている警官の耳元で何かを呟いている。
「犯人からまたメールが来ました。
社長を監禁している場所を示してきました。
警察官が既に向かっていますが我々も今からそちらに向かいたいと思いますので、会見はこの辺で終わらせて頂きます。」
「その場所はどこですか?」
「築地です。」
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