築地にて

1/1
前へ
/7ページ
次へ

築地にて

築地に向かって疾走するパトカー。その後を追うマスコミの車とバイクの群れ。 一群はやがて魚市場の横に停車。次々に中に入っていく。 そこには既に警官隊が配備されており黄色いテープが張られていた。 「こちらです。」 先に来ていた警官が今到着した警官の内、一番偉い警官であろうかに方向を示す。 そこにはマグロが入れられる大きな発砲スチロールでできた箱の山があった。 「すぐに捜索にかかれ。」 警官たちが箱を蹴散らかしながら中を確認していく。 「この箱の中に何かが入っています。」 大きなトロ箱を台車に載せて運んでくる。 「よし、注意して開けろ。何か仕掛けがあるかもしれないからな。」 大きな蓋を開けると、そこには。 まるまると太った人間が真っ裸で横たわらされていた。 「『寿司四枚』の社長に間違いありません。」 「生きているのか?」 「はい、呼吸も心拍も確認できます。ただし何か薬物を嗅がされているのでしょう、意識はありません。」 そしてその裸体を覆うように「テンプル・シュライン」と書かれたのぼりがまかれていた。 「またしてもテンプル・シュラインの仕業か。」 警察官は呟いていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加