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「ほら、お兄様にご挨拶しなきゃ」
その上。
「やめて……」
俯く僕の髪を
意地悪くかき上げて。
「だって、見つかっちゃったのはこっちさ」
もう逃げも隠れもできないでしょ
なんて言いながら――。
「ほら」
「……やだ」
僕の首に手をかけ
火照った顔を晒させる。
「あの……」
こんな状況で
気の利いた言葉なんて出るもんか。
顔を見る勇気もなくて
僕はただ茫然と視線を泳がせていた。
「ん……?」
それで気づいたんだ。
征司の様子が変なことに。
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