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「……大丈夫だ」
「大丈夫じゃないでしょう」
寸でのところで柱につかまり
持ちこたえた征司をクリスチャンが助け起こした。
その時初めて
「お兄様……どうなさったの!」
征司の顔をはっきり見て
僕は飛び上がるほど驚いた。
「何でもない……」
「何でもないって……」
一回り痩せてほっそりした顔には
とびとびに赤い斑点が散っていて
その上には白い軟膏が塗られている。
それはまるで――。
「水疱瘡だよ」
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