二.秋の始まり。

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 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。ようやく今日の授業が終わり開放的な気分になる。  早く帰りたい。違う空気がすいたい。そう考えながら私はせかせかと帰り支度をすすめる。 「空野さん、ちょっといいかな?」 「えっ」  不意に話しかけられて胸がドキっと音を立てた。声のした方を向くと、そこにはクラスメイトの女子が立っている。  もう高校に入学して数か月が経とうとしているのに、この子の名前を私は知らない。 「えっと……私に何か用?」 「うん。あのね、今日何人かでお茶しようって話になったんだけど、空野さんもどうかなって」  にこにこと笑顔を絶やさず、私をお茶に誘ってくれた彼女。その笑顔にはきっと裏も表もない。いつまでもクラスに溶け込めない、一人ぼっちの私を気遣ってくれての行動だろう。  
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