二.秋の始まり。

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   無駄に心がざわついている。一分にも満たない会話がずっと後を引いている。  あの子たちはきっと、生まれながらの偽善者だ。友達がいる自分が好きで、一人ぼっちの子を放っておけない。そういう自分が好きなだけ。少しはこっちのことも考えてほしい。学校生活を静かに過ごしたい人だっているのだから。 ――あれ? でも、中学の時は私も〈あっち側の人間〉じゃなかったっけ。  駐輪場に止めてあった自転車に乗り、少しずつ速度を上げて学校から離れていく。赤色のボディにカクカクとしたかご。その全部に一目ぼれして買ってもらった自転車。  住宅地を抜け、川沿いのサイクリングロードを走っている時が一番気持ちいい。  九月に入っても夏のような暑さは続く。でも頬にあたる風はいつもより冷たくて、秋の訪れを感じさせる。ひんやりとした感覚は少しずつ心を落ち着かせた。    
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