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「何? ママは仕事で忙しいの。大事な話以外なら後にしてくれる?」
睨むような目つき。針が心にチクっと刺さったような感覚。この人は、ほたるのお母さんなんだよね? 僕は、目の前にいるこの女性がほたるのお母さんとはとても思えなかった。
だって、彼女のほたるを見る目には、全く愛情を感じられなかったから。
「……なんでもない! 邪魔してごめんね、ママ」
ほたるは何も悪くないのに謝ると、すぐに部屋から出て行った。逃げるように早足で廊下を進み、階段を上る。
二階に上がるといくつかの部屋があり、そのうちの一つの扉には〈ほたるの部屋〉と書いてある木製のプレートがぶら下がっていた。ほたるは部屋に入ると、部屋の明かりもつけずにベッドに横になった。
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