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「今日もママとちゃんと話せなかったなぁ」
ぽつりと呟くその声は、泣いているようだった。その声を聞いて、僕は気づいたんだ。
――彼女は、母親に愛されていないと。
それは、彼女と一緒に過ごすにつれ確信へと変わった。ほたるは、母親と仲良く過ごすことのできない寂しさを毎日感じていた。
ほたるは、朝起きると優子さんと一緒にご飯を食べる。そして学校に行って授業を受け、駆や陽咲と遊んで帰る。家に帰ると出迎えてくれるのは、決まって優子さんだった。
ちなみに、ほたるの父親は旅館の板長をしているため多忙で、ほたると過ごす時間は本当に少なかった。
ただ、板長はほたるに対して優しく、母親のように冷たく接することはなかった。
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