二.秋の始まり。

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  「おはようございます!」 「おはようございます、陽咲ちゃん。今日も学校帰りに来てくれたのかい?」  バイト先である海堂旅館に裏口から入って更衣室に行くと、そこには仲居さんのゆかりさんと晶子さんがいた。二人とも四十歳前半くらいで、頼もしい私のバイト仲間である。二人は更衣室で休憩していたらしい。 「今日は、お客さんはどのくらいいらっしゃいますか?」 「今日は家族連れのお客様が数組と、珍しいことに男性のおひとり様がいらっしゃるのよ」 「とっても若そうなお方だったけど、一人で澄ノ島に何の用事かしらねぇ」 「お盆の時期もだいぶ過ぎているけど、遅めの夏休みなのかねぇ。サラリーマンって感じにも見えないけどねぇ」  
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