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家に帰ってもほたるはずっと一人だった。大人達は旅館の仕事で忙しく子供に構う時間はなかった。それでも優子さんは、努めてほたるとの時間をとっているように見えた。
ほたるはほとんど一人で夜ご飯を食べていた。ご飯はいつも冷えていて、作りおきのおかずかあまりものだった。時々優子さんが一緒に食べてくれたけど、母親と一緒に食べることは一度もない。
「ほたるちゃん、いつも寂しい思いをさせてごめんね。女将は旅館を回すので精一杯だと思うの。私ももっと仕事が出来るようになれば、女将にも時間が出来ると思うの」
「優子さんのせいじゃないよ。それにほたるは、寂しくないよ。パパやママが忙しいってことは分かっているもん。優子さんや、仲居さん達も優しいし。ほたるは大丈夫だよ」
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