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「……本当に、どうしてほたるちゃんはこんなに優しくて、いい子なのかしら」
優子さんはほたるを見て悲しそうに笑っていた。きっと、ほたるに一番優しくしてくれる彼女のことだから気づいているのだろう。これはほたるの強がりで、本当は寂しくて仕方ないってことを。
ほたるは自分の部屋にいる時だけ、本当の気持ちをさらけだす。寝る前、僕を首から外してネックレススタンドにかける。その時、僕はようやく彼女の顔を見ることが出来るのだけど、彼女の顔は決まって曇っていた。
泣いている時もあった。その時は周りに気づかれないように、声を押し殺すように泣いていた。
僕は許せなかった。どうして、何も悪くない彼女が涙を流さなければならないのだろう。どうして、あの母親はほたるに冷たくするのだろう。
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