九.空色のネックレス。

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「ほたる、三人でこうやって空を眺めるのが好きだなぁ。特に河原で見るのが好き。空も川もとってもキレイだから」 「私も! 幼稚園の時は、空が好きだから鳥になりたいって思っていたなぁ」 「ああ。そうだったな。鳥になりたいっていうか、自分も空を飛べると思っていただろ? ジャングルジムから飛び降りたこともあったよな」 「そうそう。それが危険なことだって分からなかったからさー。先生が受け止めてくれなかったら大けがしていたかも」  三人の時間はゆっくりと流れる。この川の流れのように、穏やかで安らぐひととき。きっと家に帰ったらまた、ほたるは母親のことで悲しむのだろう。だからせめてこの時だけは、ほたるに幸せを感じていてほしい。僕は切に、そう願っていた。
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