十一.中学校。

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 ほたるの傍にいるだけで毎日が楽しくて、あっという間に過ぎていった。ほたるはとうとう中学一年生になり、また駆や陽咲と同じ校舎に通うことになる。  ちょっと大きめのセーラー服。胸元には藍色のリボンがしっかりと結ばれている。そして、首元にきらりと輝くのは僕だ。つけてくれるのはれしいけど、セーラー服では僕は隠れない。先生に怒られないかと心配になる。  初めての登校は優子さんと一緒だった。一緒に入学式に参列してくれるらしい。授業参観と同様、実の両親はやはり来てくれない。優子さんがほたるの母親だと思っている人も少なくないんじゃないかな。  なぜなら、ほたるの母親は、親らしいことを何一つしていないから。新しい制服やカバンなどを揃えたのだって、全部優子さんだ。  
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