十一.中学校。

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「ほたるちゃん、セーラー服がとっても似合うわね。私の自慢の姪っこよ」 「優子さん、ありがとう。優子さんもスーツ姿がとってもステキだよ」  今日の優子さんはスーツ姿だった。入学式に合わせて買ったらしい。いつも着物姿だから新鮮、というか別人に見える。 「これからきっと、楽しいことがたくさん待っているわ。勉強に部活、あと遊びもいっぱい頑張ってね」  慣れない通学路。新しい制服を着た子供達が、親に連れられて歩いている。独特の緊張感、桃色の空気、春を感じさせる光。  ここにいる誰もが新しい毎日に胸を輝かせているから、僕の目の前の光景は眩しいほど輝いている。 「うん! でもほたるは、部活よりも旅館のお手伝いしたいなぁ」  ほたるもまた、何か新しいことを始めたいらしい。でもそれは、中学校に関することではなかった。  
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