二.秋の始まり。

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「バイトがない日によく行っていますよ」 「そっか。俺なかなか行くヒマが無くてさ。いつもお見舞いに行きたいって思っているんだけどね。それで、最近の調子はどうなの?」 「特に変わらないです。……私、そろそろ行きますね。若女将に呼ばれているので」  話を途中で折って、小さくおじぎをし、彼の顔を見ずに事務室へと移動した。おにぎりのお礼をしていないことに気づきながらも、振り返って話しかけることはしなかった。  可愛げがない態度をとってごめんなさい。でも、大輔さんの聞きたいことに応えるだけの余裕はまだなかったんだ。 「失礼します」  二回ほどノックをした後、ゆっくりと事務室の扉をあけた。事務室は十畳ほどの広さで来賓用のソファとテーブルがあり、パーテーションで区切った先には事務仕事用の机がいくつかある。
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