十二.占い師。

3/7
前へ
/336ページ
次へ
 体育館裏から教室に帰ると、きまって女子生徒たちにそう言われる。その言葉はどこか棘があるように感じた。  ほたるは友達が多く、クラスでも人気がある。それは二年生になっても変わらない。変わらないからこそ、そこには妬みが生まれていく。  太陽が照らす場所には必ず影があるように、ほたるの光が強ければ強いほど、その陰に隠れてしまう女子が多くなる。真っ暗な場所にいると光が恋しくなり、光を持っている人を疎ましく思う。  友情の中に見え隠れする嫉妬は、しだいにほたるの学校生活を曇らせていく。 「私は、ずっと前から好きな人がいるから……」 「駆先輩だよね? もういい加減コクっちゃいなよ。それで付き合うなり振られるなりしてもらわないと、私たちも困るんだよね。いいところは全部ほたるちゃんに持って行かれるんだから」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加