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壁沿いには書類びっしりのキャビネットがあり、まるで小さな会社のようだ。
「陽咲ちゃん、おはよう。呼び出して悪かったね」
「おはようございます。今日の着物もとってもキレイですね」
「あらー、ありがとう。毎回褒めてくれるのは陽咲ちゃんだけよ。ところで、その手に持っているのはおにぎり?」
「あっ、これは大輔さんがくれて」
「余ったご飯で握ったのかしらね。お腹空いているならここで食べていく? お茶淹れるから座って待っていて」
私は若女将の言葉に甘えてソファに座り、彼女が淹れてくれた緑茶をお供におにぎりをほおばった。ちょうどいい塩加減が口の中に広がる。もう一口食べると、ご飯の真ん中にほぐされた焼き鮭の姿を発見した。
「ちゃんと味付けしてあった!」
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