十三.卒業。

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「じゃあ、そろそろ帰るね」 「おう、雪に滑らないようにな」  ほたるは駆の家から出ると、新しく積もった雪の上を歩いていく。膝まで埋もれちゃうんじゃないかっていうほどの雪。ほたるはどんくさいから、こけないか心配になる。  ほたるは駆の家から二軒先の家の前で足を止めた。表札には〈空野〉と書かれている。 「すいません、陽咲ちゃんはいますかー?」  ほたるは玄関の引き戸に向かってそう叫んだ。 「ほたるちゃん! どうしたのー?」  ほどなくして玄関から顔をのぞかせたのは、陽咲に良く似た男の子だった。 「陽太くん、こんにちは。陽咲ちゃんって家にいる?」 「うん、いるよー。自分の部屋にいると思うから、上がっていきなよ」
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