十三.卒業。

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「ほたるちゃん、お帰りなさい。どうしたの? いつもより元気がないわね」 「うん、駆くんと陽咲ちゃんが卒業しちゃうから、寂しくて。今日は一緒に帰りたかったけど、二人とも忙しくて……」  ほたるにしては珍しく、弱い心を他人に見せている。いつもは周りに心配をかけないように、元気に見せているのに。それほど、今のほたるには心の余裕がないのだろうか。 「そうよね、三人は仲がいいから、寂しいわよね。……ねぇ、ほたるちゃん。今日は旅館の手伝いはお休みにして、駆くんと陽咲ちゃんのところに行って来たら? 今日はもっと二人とお話ししたいんじゃない?」 「うん、二人と話したいけど……でも、いいの?」 「もちろんよ。女将にも私から説明しておくから。心配しないで」 「うん、そうする。優子さん、本当にありがとう!」  ほたるは優子さんにカバンを預けて、また外に出て行った。そのまま歩いて、陽咲の家の方角に歩いていく。
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