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「若女将、やっぱり私、お給料は受け取れません」
私は首を横に振り、封筒を受け取ろうとはしなかった。しかし、若女将は封筒を差し出したままだ。
「毎月言っているけど、高校生をタダ働きさせたらエライ人に怒られちゃうから。きちんと働いた分は受け取らないと」
「……私は、お金が欲しいからお手伝いをしているわけじゃないです」
「その気持ちも分かっているわ。でも、陽咲ちゃんが旅館に来てくれたおかげで皆助かっているのよ。仕事量だけじゃなくて、精神的な部分でも助かっているの。これは私たちからの感謝の気持ちだと思って」
「……分かりました。ありがとうございます」
私と若女将は、毎月同じやりとりをしている。結局はいつも若女将に押されて給料を受け取ってしまう。そのお金を家に持って帰っては罪悪感に浸り、来月こそは受け取らないと決意して、の繰り返しだ。
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